業務上、高齢者とコミュニケーションを交わす上で意識したいのが、対等な立場を維持する点です。特に看護や介護の分野で働いている方は、ある意味で良かれと思って高齢者に対して、優しい言葉遣いで接する事があります。実際に介護や看護の施設では、高齢者や弱者に対して健常者とはちがう、より親切で優しい対応を取るべきだ、という指導やマニュアルも存在しています。
確かに優しい対応も必要ですが、やりすぎてはいけません。過度な優しさは、年配者の立場からすると自分は大人なのに、まるで乳幼児や幼稚園児のように扱われている、という不満が募ってしまうものです。もちろん年配の方々は足腰が衰えていたり、視力や聴覚が悪くなっている等、ハンディキャップを抱えているのですが、いわゆる赤ちゃん言葉でコミュニケーションを交わしたり、必要以上に動作の補助をするのは、高齢者の方々の自尊心やプライドを傷つける行為になりかねません。その点には注意し対等な立場であることを意識して介護すべきです。
次に気を付けたいポイントとしては、世代間ギャップを意識する事です。世代によって生まれ育った環境や労働の環境は違います。特に今現在の高齢者と40代以下の比較的若い社会人では、なかなか価値観が合わない方が、むしろ自然です。また年配の方々は良いも悪いもハラスメントやコンプライアンスとは無縁の大らかな時代を生き抜いてきた方々です。若い世代の人々に対して、時として激しい口調で怒ったり感情的な態度で接する事がありますが、いわゆる悪気があってしている事は少ないでしょう。若い世代とは対照的な価値観を持っている、と予め理解した上でコミュニケーションを交わし、時には相手の発言や行動を冷静に受け流す冷静さが大事です。
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